この世界にはレベルシステムが存在する。

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この世界に、ゲームと同じようなレベルシステムが実装されているというのはご存じだろうか。

レベルシステムといっても、もちろん昔のRPGのように、唯一あるメインレベルさえ上げていれば全てのステータスが上昇し万事解決するような単純明快なものではない。

最近のゲームにあるような、スキルごとにレベルがあり、その習熟度によってレベルが上昇していく仕組みになっている。

そのスキルというのも複雑に絡み合い、細分化されているから一見レベルシステムがわかりにくくなっているし、ステータス画面など開くことができないから確認できないだけなのだ。

具体例を挙げてみよう。例えば、料理スキル。

MMORPGのようなゲームだと、レベルを上げるたびに作れるものが増えていき、高レベルになるほど効果が高く様々なものが作れるようになるスキルだったりするだろう。

料理レベル1 「おにぎり」作成可能。   スキルレベル×10 HP回復
料理レベル2 「おまんじゅう」作成可能。 スキルレベル×10 MP回復
料理レベル3 「カレー」作成可能。    50        HP回復
料理レベル4 「ムースケーキ」作成可能  50        MP回復

例えばこのようなスキルが一般的だろうか。ユーザーに、HPとMPの回復材をわかりやすく見分けてもらうために食事類がHP回復用、おやつ類がMP回復用になっている。そして、ユーザーはこの料理スキルに僅かな違和感は持つだろうが、簡単に受け入れることだろう。ただ、気を付けてほしいのは、こういったゲームのためにカスタマイズされたレベルシステムが現実のレベルシステムの存在を誤解してしまう原因になっているということだ。

上記の料理スキルで想定される違和感をはっきり言葉にすると、「いくらおにぎりを作り続けて料理のレベルを上げたところで、決して突然おまんじゅうが作れるようにはなったりしないし、おまんじゅうが作れたところでカレーやムースケーキに辿り着くはずもない」ということだ、

この誤解はすでに現実世界にまで浸食している。

カレーを作るのがすごく上手な男性がいたとしよう。男性は、よく知人を家に招き、自慢のこだわりカレーを振るまっていた。そのカレーは皆に大好評で、彼は料理上手として有名だった。

この一文を見て、違和感を抱く人はいないはずだ。だが、これが真実を語っているかというと微妙だ。

彼は、「カレー」を作るのが常軌を逸して上手である。これは真実だろう。だが我々は往々にして、「こんなにおいしいカレーを作れるのであれば他の料理もさぞ上手に違いない」と勘違いを起こす。
彼は生まれてこの方、カレー以外を作ったことがない。カレーを作ることにこそ心血を注いできたのであり、普段は妻の作る手料理を食べており、気が向いたときにだけせっせとカレーを作りだす趣味人なのだ。そんな真実があったところで誰もそれを想定しないのだ。
むしろ、彼がカレー以外を作れないという事実に驚きすらするだろう。
「あんなに料理が上手なのに」

これがレベルシステムを認識阻害する一番の原因である。レベルシステムというより、スキルの細分化を理解していないが故の勘違いともいえる。

おそらく、料理スキル、というものも存在する。だがそれは、単体で存在するものではなく細分化する全ての料理関連のスキルと紐づいたものだと私は考える。言うなれば、スキルツリーの根幹に存在する前提スキル、とでも呼ぶべきものだろう。

料理スキルは、全ての料理の前提となるスキルだ。カレーを作るなら、スパイスの調合や煮込み時間、各種材料を知っているだけでは片手落ちだ。それぞれの材料を調理に最適な状態にカットしたり、皮をむいて可食部分とそれ以外に分けないといけない。いわゆる下ごしらえというやつだ。それらの下知識と下拵えを包括しているのが料理スキルであり、そこからカレーを作るのはまた別の技術に分類される。

もちろん、カレーを作れば作るほど下拵え、料理スキルを使うことになるので料理スキルの経験値は詰めるし、料理スキルのレベルが上がる(例えば食材への理解が深まりよりおいしく調理できる方法や知識を得たり、下拵えの手際が良くなることで食材が新鮮なうちに調理できるなど)すれば完成した料理もさらにおいしくなったりはするだろう。相互関係は確かにあるし、カレーを作れるならばシチューも作れるし肉じゃがなど煮込み料理全般に通ずる知識や経験が得られるというのはあながち間違いではない。だが、カレーの達人にいきなり「フェイジョアータ」を作ってくれと頼んだところで無理なのは理解に難くない。いくら同じ煮込み料理であろうと、いくら前提スキルである料理スキルのレベルが高かろうと、ブラジルの煮込み料理で一度も食べたことのない「フェイジョアータ」を知識0の状態で作りだせというのは無理だ。カレーの達人に「肉じゃが」を作れというのもこれに通ずるものがある。「料理が上手なんだから作れるでしょう」とは、勝手な印象なのである。

さて、「料理スキル」と「カレー作成スキル」が密接に関係しながらも別個のスキルであるというのをなんとなく理解していただけただろうということで次の考察に移りたいと思う。

レベルの話だ。

あなたは、今まで何かに打ち込んだことはあるだろうか。

スポーツでもいいし、ゲームでもいい。それこそ、余人が一笑に付すことでも構わない。
これは誰よりもやり込んだし、普通の人よりも少しでも上達している自覚があるものを思い浮かべてほしい。

あなたは、そこに至るまでに壁に阻まれたことはなかっただろうか。
実現したい技があるのに技術が足りなくて実行できない。
クリアしたい課題があるのに何度挑戦しても失敗してしまう。

人は成長の手前で、必ず停滞期が訪れる。その停滞期を打ち破ることができた人のみ次のステージに巣進めるのだ。

小学生の時、逆上がりに苦戦したことはなかっただろうか。
縄跳びで、二重飛びが中々成功しなかったことはないだろうか。
自転車の補助輪を外すときはどうだっただろうか。

そのどれもに共通するのは、一度でも成功すれば、何故かぐっと成功率が上がるということだ。

今まで何十回、ともすれば百回以上も挑戦したのにも関わらず一度も成功できなかったことが、たったの一度成功するだけで5回に1回、3回に1回などの割合で急に成功するようになる。

コツを掴んだからという表現もできるが、もっと相応しい言い方がある。

レベルが上がった、ということだ。

この現象は至るところで見られる。

例えばアクションゲーム。最初はキャラの操作すら難しく、一番弱い敵すら苦戦することだろう。ゲームの難易度に疑いすら持つが、ゲームを進めるにつれてキャラは自分の化身のごとく自在に動くようになり、雑魚敵は読んで字のごとく、息を吸って吐くのと同じように蹴散らしてしまうようになる。

例えばパズルゲーム。最初はたどたどしかったのに、気付けば以前クリアに四苦八苦していたステージが余裕でクリアできるようになっていた等。

ゲームのキャラクターのレベルが上がるからではない。プレイヤー自身のプレイヤースキルの上昇に伴ってそういう変化が往々にして起きている。

これらのレベルは決して可視化は容易ではないが確かに存在している。漠然としたイメージではとらえられないが、着眼点を狭めて注意深く観察することでスキルとそのレベルを見分けることができるようになる。そして大抵、低レベル者やそのスキルを持たない者にとって、高レベル者の振る舞いはあたかも魔法のように見えるものだ。あるいは、同じ人間かと疑う場面すらある。

上級者との技術の差に愕然する瞬間というのは、上を目指していれば必然として訪れる。

だが、ここで言いたいのは、決してそれが諦める理由にはならないということだ。
いうなれば、それは「レベルが違う」だけの話なのだから。

レベルは、ゲームのごとく経験値の蓄積によって上昇する。つまり、レベルを上げたければ経験値を積めばいいだけの話だ。

むしろ、技術の差に愕然としてレベルが違いすぎると感じたのであればチャンスだとも言える。その人にレベルごとの概念を聞けばいいのだ。

例としてオムライススキルのレベルを明記してみよう。

オムライスレベル1 オムライスが作れるようになる(たまごが破れたりする)
オムライスレベル2 オムライスが綺麗に包めるようになる
オムライスレベル3 半熟卵でオムライスを包めるようになる
オムライスレベル4 オムライスで誰にも負けない気になってくる
オムライスレベル5 半熟のオムレツを乗せるようになる(切り込み入れても開くのは手動)
オムライスレベル6 半熟のオムレツ(ナイフを入れると自動で開く)を乗せるようになる

一口にオムライスといってもオムライスの奥は深い。ただ作るだけでこうはならないが、向上心を持って常に進化を考えていればオムライスを作る人というのはこういった軌跡をたどっていくはずだ。ちなみにレベルごとに起こる技術革新もおそらく人によっては順番が違ったり個性が出てくるのではないだろうか。オムライスのレベルシステム一つとっても規格が一つとは限らないからだ。ちなみに私はオムライスレベル4くらいで白いオムライスや黒いオムライスといった色とりどりのオムライスを作るようになった。

もちろん、オムライスレベル7以降もあるには違いないが、私のレベルが今おそらく6相当のため、7以上のことはわからない。低レベル者の想像の上をいくのが高レベル者であるからだ。

こうして表にして見ると、レベルシステムというのもあながち間違いではなく、あなた自身も何かレベル表を作れるものがあるのではないだろうか。そして確認してみてほしい。もしあなたがレベル表を作って、同じスキルを持つ人に見せた場合、多くの場面で驚くほどの共感を得られるだろう。

何故なら、この世界にはレベルシステムが確かに存在し、レベルが上がったものは皆、同じような軌跡を辿るからだ。

私がこの説を唱えるにあたって、確信を得るに至ったレベル表を公開する。
いわゆる音ゲーのスキルレベルとそれに付随して覚えられる技のリストだ。

レベル1 普通のプレイヤー
レベル2 集中力がつくようになる
レベル3 短時間の集中が得意になる
レベル4 「極集中」 集中力が極めて高くなり、稀にゾーンに入れるようになる
レベル5 「ゾーン」 自在にゾーンに入れるようになる

レベル6 「オートモード」 流れてくる譜面を頭では完全に理解できていないはずなのに、
              指があたかも自動で動き流れてくるノーツを片付けてくれる

レベル7 「並列思考」 画面を左右で割り、右手で担当する譜面と左手で担当する譜面、それぞ    
            れを別の自分が見ているような感覚で独立して思考し、最適な指の動き 
            を考えられるようになる

音ゲーをやり込んでいない人から見ると、レベル4の辺りからほぼ眉唾ものであると思う。
ただ、音ゲーをやり込んでいる人から見ると驚くほど共感できるのではないだろうか。

私の知人に、スマホの音ゲーで常にイベントランキング上位に入る猛者がいる。どれくらいの猛者かというと、高難易度の曲のパーフェクトフルコンボを普通に狙うような猛者だ。ただのフルコンボではなく、全てのノーツを「パーフェクト」のタイミングで押したパーフェクトフルコンボだ。これだけ言うとどれだけ恐ろしいか、経験者には伝わるだろう。

ちょうどレベル6に上がってオートモードを習得した辺りで、私はその猛者に問いかけてみたのだ。練習を続けていたらこういう感覚に襲われて「オートモード」という特殊な能力を得たのだが、と。すると、猛者は「ようやくその段階に来たか。俺もだ」と平然と答えてのけたのだ。

そこで、これは私が得たのは「私だけの特殊能力」などではなく、レベルが上がった故に得られた「音ゲースキルに付随する能力」なのではないか、と気付いたのだ。

もちろん、レベル7に至った際も即座に猛者の元を訪れた。
非常に言語化が難しかったが、「並列思考」の内容を伝えることで、猛者にも同じ現象が起きていることが確認できた。ただ、「並列思考」を使ってもパーフェクトフルコンボを狙えない曲がある、といってのは余談ではあるのだが。

ちなみに、私には音ゲーの才能はない。
音ゲーは好きだし、結構やり込んだので大抵の人間には負けない自信もあるが、決して才能はない。
何故ならばリズム感がないからだ。高難易度の曲はクリアこそできるものの、猛者のようにパーフェクトフルコンボどころかフルコンボすら狙えない程度のプレイヤーだ。

そう、スキルレベルを上げることで同じような技を習得することはできるが、それで全ての技量が同じになるわけではない。そこはやはり修練の仕方や才能といったもので差が出てくるものだと思っている。キャラが違えば同じ50レベルで同じ技を覚えたとしてもステータスは違うし与えるダメージも違ってくるのは当然だろう。私は今、音ゲーレベル7ではあるが、レベル5とかレベル4とのプレイヤーでも私より高スコアを出すものは恐らくいないわけではない。

言えるのは、経験値を積むことで誰しもスキルレベルを上げることができる、ということだ。
上記の常軌を逸した眉唾物の音ゲーのスキルでさえ、やり続ければ必ず誰しも習得できることだろう。

特に集中力を上げたい人には音ゲーはおすすめである。ノーツを追って没入することで集中力は驚くほどあがり、レベル5のゾーンくらいまでは別のゲームや日常生活にも使える便利な技だ。レベル6以降は完全に音ゲー専用の技になるので音ゲー以外で役に立つはずもない上に私はそこに至るまで5年ほど時間を要しているので決して容易ではないということは付け加えておく。ただ、このリストを見て、自分は今どこにいるのか、何が出来るようになったら次のレベルなのかということは参考程度にはなると思う。

ここまで本当に眉唾物の理論を書きなぐった自信はあるが、これらは事実である。

この世界には細分化されたスキル毎のレベルが確かに存在し、各経験を積むことで誰でも平等に技が習得できることだろう。そこに至れるかは本人の努力次第にはなるが。

もし、今あなたが何か壁に当たり悩んでいるならば、続けてみてほしい。それはレベルが上がる前の停滞期なのかもしれない。もちろんレベル上限というのはあるかもしれない。音ゲーレベルが10まであるとして、私の上限は7までで、いくらやってもこの後はレベルが上がらないのかもしれない。だが、それは誰が決めることでもない。言えるのは、諦めた時に成長は絶対に止まるが、諦めない限り経験値はどんどん積み上げられていくということだけだ。

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