一光年の物干し竿

第一章 世界は不確かで出来ている

もし、一光年の長さの物干し竿があったとして、
あなたがその物干し竿を3cm、ひょいっと動かしたとする。

Q あなたが動かした一光年の物干し竿の先端はその時、どうなるか?

  • あなたが動かすのと同時に3cm動く
  • あなたが動かした1年後以降に3cm動く
  • 動かない

さて、これはもう十数年前に私がネットで見た記事を記憶を頼りに書いているのだが、
1光年の長さの物干し竿が存在するわけがない、まず動かせるわけがない等という意見は黙殺させていただく。

想像してみてほしい。一光年の長さの物干し竿だ。

まず、大前提として一光年というのは距離のことだ。

言わずもがな、光の速度で一年間進む距離のことだ。
ウィキによると光の速度は真空中において299792458m/s(約毎秒30万km)

これ、大体マッハ88万らしい。

マッハ1=時速約1200km、旅客機でマッハ0.8、戦闘機でもマッハ1~2のものが多いが、宇宙空間におけるスペースシャトルはマッハ20超えてるらしい。

話が逸れた。

物干し竿の話だったか。1光年の物干し竿なんてあれば全人類の洗濯物が全て干せるに違いないが、マッハ88万で動いても洗濯物を干し終わるのに1年かかるという。

一光年というロマンと幻想がよく理解いただけたと思う。

さて、ここで冒頭の問いの回答をしよう。

答え あなたが動かした1年後以降に3cm動く

いや、同じ物体じゃん!?って思う人もいると思う。
一年後に動くんだとしたらその物干し竿は一年間の間、一光年の物干し竿じゃなくて一光年引く3cmの物干し竿になるじゃねーか!って突っ込む人もいると思う。

何故そうなるかというと、何者も光の速度を超えることは出来ないとされているからだ。

光の速度を超えられないのは何も人類だけではない。エネルギーが伝わる速度というのもまた光を超え得ないのだ。

この世界の設定を改めて思い出してほしい。

あなたが1mくらいの平凡な棒を持っているとする。上段に構え、振り下ろすとする。

この時、棒はあなたが動かした瞬間に同時に動いているも同然だが、厳密には違う。

あなたが持っている持ち手の部分にあなたが振り下ろすエネルギーがまず伝わり、持ち手の部分の棒を構成する原子がまた隣の原子にエネルギーを伝え、またその原子が……という形で先端までエネルギーが伝わっていく。

つまり、エネルギーはバケツリレー形式で伝わるため、順番としてはまずあなたの持ち手が動き、そこから順次エネルギーが伝わり次第動いていき、最終的に先端が動く、ということになる。

1mくらいの棒だとわかりにくいので、3mくらいの竹の棒を想像して振り回してほしい。

ほら、先端がしなって遅れて動くではないだろうか。

ちなみにエネルギーの伝わる速度は、硬いものほど早いとか。

つまり、エネルギーが伝わる速度は少なくとも光の速さよりは遅く、あなたが一光年の物干し竿を動かしたとして、物干し竿の先端が動く(エネルギーが伝わる)のは一年以上先ということになるのだ。

確かに一光年の物干し竿が存在するとするならば既存の物質では決して不可能といえるため、それこそエネルギーの伝達速度が光の速さでもおかしくはないが、それでも一年はかかる。そしてそれを指摘するならばそれを3cmも動かして見せたあなたはもはや人ではないのであしからず。

明日使えそうで使えない雑学、いかがだろうか。

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